【後編】「南紀・熊野古道フリーきっぷ」で行く!熊野古道・中辺路モデルコース|特急「南紀」で三重・東紀州をめぐる旅
掲載日:2026.10.02
特急「南紀」に乗って、熊野古道へ!「南紀・熊野古道フリーきっぷ」を活用して、東紀州の自然やグルメを楽しみながら、世界遺産「熊野古道」を歩いてみませんか?三重・東紀州をめぐる中辺路編では、美しい海岸線が続く熊野古道「浜街道」を歩き、熊野川を舟で進む「川の参詣道」を体験。海と川、それぞれの魅力を満喫します。
提供:南紀・東紀州交通対策委員会
「南紀・熊野古道フリーきっぷ」中辺路コースで三重の熊野古道へ
「南紀・熊野古道フリーきっぷ」は、3日間有効で、発駅からフリー区間までの往復に特急「南紀」の普通車指定席を利用できる便利な切符です。
フリー区間では、JR線の特急・普通列車の自由席に加え、対象の路線バスも乗り降り自由。伊勢路コースと中辺路コースの2種類があります。
- JR線:熊野市~紀伊勝浦間
- 熊野御坊南海バス(龍神自動車含む):紀伊勝浦駅~那智山間、新宮駅~紀伊勝浦駅間、新宮駅~本宮大社前~発心門王子間、志子・神丸~小口間、相筋線・広角住宅線・松山高田線
伊勢路コースの「南紀・熊野古道フリーきっぷ」は、フリー区間が異なります。
伊勢路コースのフリーきっぷを使って東紀州を楽しんだ旅は、前編でご紹介しました。
熊野古道伊勢路の中でも、尾鷲ヒノキの森と美しい石畳が続く「馬越峠」と、熊野灘を望む絶景が楽しめる「松本峠」へ。
周辺のグルメや観光スポットも盛り込んだ1泊2日の旅の様子は、こちらからご覧ください。
特急「南紀」で快適に熊野古道へ
熊野古道の旅のスタートは、特急「南紀」から。
特急「南紀」は、2023年7月から新型のハイブリッド車両HC85系で運行されています。
今回の中辺路編では、名古屋から熊野市まで約3時間10分。車窓に流れる景色を楽しみながら、ゆったりと東紀州への旅を始めていきます。
特急「南紀」の車両の特徴や、「南紀・熊野古道フリーきっぷ」の詳しい情報は、前編でご紹介しています。あわせてご覧ください。
「南紀・熊野古道フリーきっぷ」の中辺路コースを利用して、七里御浜の海岸線を歩く「浜街道」と、熊野川を舟でめぐる「三反帆遊覧体験」へ。
峠道だけではない、熊野古道の魅力をたどります。
バスフリー区間を利用する際は、「かえり」券を提示し、あらかじめ「熊野御坊南海バス引換券」を下記のバス乗車券引換場所で「バス乗車券」に引き換えてください。
【バス乗車券引換場所】
- 熊野御坊南海バス 新宮駅前きっぷ売り場
- 熊野御坊南海バス 紀伊勝浦駅前きっぷ売り場
熊野古道「浜街道」をたどる七里御浜へ
「南紀・熊野古道フリーきっぷ」中辺路コースを使い、特急「南紀」を熊野市駅で下車。ここから、熊野古道伊勢路の一部である「浜街道」をたどります。
浜街道は、熊野市駅から海岸線に沿って歩くことができ、時間に余裕があれば約3時間かけて歩くのもおすすめです。
今回は、熊野市駅から普通列車またはバスに乗り換えて三重県南牟婁郡御浜町(みはまちょう)の阿田和(あたわ)駅へ。駅から徒歩約10分の「七里御浜ふれあいビーチ」を起点に浜街道を進みました。
海岸線に沿って続く、もう一つの熊野古道
目の前に広がるのは、熊野灘沿いに約22kmにわたって続く七里御浜。
長い列車旅の後に待っていたのは、180度見渡せる海岸線――まさに、旅のご褒美です。
どこまでも続く青い海を眺めながら、かつてこの道を歩いた人々に思いを馳せます。
七里御浜ふれあいビーチの一部には、ヤシの木が並ぶ芝生広場もあり、南国リゾートのような雰囲気も楽しめます。
雄大な海岸線を眺めながら歩くひとときも、熊野古道をたどる旅の一部。
今も残る浜街道の風景を感じながら、熊野三山へと続く道を歩きました。
| 名称 | 七里御浜ふれあいビーチ |
|---|---|
| 住所 | 三重県南牟婁郡御浜町阿田和4289-1 |
| アクセス | 【列車】JR紀勢本線「阿田和駅」から徒歩約10分 |
みかんのまち・御浜町でお土産&グルメを楽しむ
御浜町は「年中みかんのとれるまち」として知られています。
浜街道を歩いた後は、七里御浜ふれあいビーチから徒歩5分の「道の駅 パーク七里御浜」で、お土産やご当地グルメを楽しみましょう。
「道の駅 パーク七里御浜」でみかんジュース飲み比べ
「道の駅 パーク七里御浜」では、御浜町産のさまざまな柑橘を使った100%みかんジュースの飲み比べが楽しめます。
温州みかん、不知火、ポンカン、カラマンダリン、せとか、セミノール、甘夏、サマーフレッシュと、種類豊富。どれにしようか迷いながら、気になる3種類を選びます。
すべて道の駅内にある「ジュース工房」で搾っているそう。搾った柑橘を新鮮なまま瓶詰めしているため、果実のおいしさをそのまま味わえるのも魅力です。
私が選んだのは、一番人気の「不知火」、個人的な推しみかん「カラマンダリン」、そして酸味のある「サマーフレッシュ」の3種類の飲み比べ。
まずは、一番人気の「不知火」から。
甘さと酸味のバランスがよく、すっきりとした味わいです。
続いて、私のお気に入り「カラマンダリン」。温州みかんにキングマンダリンを交配させた品種で、濃厚な甘さが特徴です。
そして最後は、酸味が特徴の「サマーフレッシュ」。キリッとした酸味が心地よく、暑い季節にぴったり。
熊野古道を歩いた後なら、なおさら体に染みわたります。
どのみかんジュースもそれぞれ違ったおいしさがあり、飲み比べてみると柑橘の個性の違いもよく分かります。
気に入ったみかんジュースを何種類かお土産にするのもいいですね♪
絶景レストラン「ごちそうダイニング紀伊の郷」
「道の駅 パーク七里御浜」の中にあるレストラン「ごちそうダイニング紀伊の郷」では、海の幸を使った料理をはじめ、各種定食や麺類などを楽しめます。
なかでもおすすめなのが、まぐろ丼としらす丼。
おかず付きの定食スタイルと、丼単品から選べます。
せっかく熊野灘の海を眺めながらのランチなので、私はまぐろ丼をいただくことに。
ボリュームもしっかりあるので、グループで訪れたら、まぐろ丼としらす丼をそれぞれ注文してシェアするのもおすすめです。
お腹が満たされたところで、レストランの外にある展望台テラスにも出てみました。
ここからは、美しく広がる七里御浜海岸を一望できます。
さっき歩いた浜街道を、今度は上から眺められるのも素敵ですね♪
海を眺めながらご当地グルメを味わい、展望台から七里御浜を見渡す。
浜街道を歩いた後に、御浜町ならではの景色と味をゆっくり楽しめるスポットです。
| 名称 | 道の駅「パーク七里御浜」 |
|---|---|
| 住所 | 〒519-5204 三重県南牟婁郡御浜町大字阿田和4926-5 |
| 電話番号 | 05979-2-3600 |
| 営業時間 | 9:00~17:30(観光センター) |
| 定休日 | 年中無休 |
| アクセス | 【列車】JR紀勢本線「阿田和駅」より徒歩約1分 |
旅の情報収集と、こだわりのコーヒー
「道の駅 パーク七里御浜」で食事やみかんジュースを楽しんだ後は、隣にある「七里御浜ツーリストインフォメーションセンター」にも立ち寄ってみて。
2020年にオープンした観光案内所で、御浜町をはじめ、熊野・紀南エリアの観光情報を発信しています。館内にはカフェも併設され、RVパークの受付なども行っています。
七里御浜ツーリストインフォメーションセンター
旅の情報収集に。館内には、御浜町をはじめ熊野・紀南エリアの観光パンフレットがそろい、周辺の観光スポットやイベントなどをチェックできます。
熊野・紀南エリアをもう少し巡りたい人は、ここで情報を集めてみては?
キイカフェ
七里御浜ツーリストインフォメーションセンター内には、「キイカフェ」も併設されています。
一杯ずつ丁寧にハンドドリップで淹れられる本格的なスペシャルティコーヒーを楽しめるカフェです。旅の途中でほっとひと息つきながら、次の目的地を考えるのもおすすめです。
世界遺産・熊野川を川舟で巡る「三反帆遊覧体験」
熊野古道の旅で、ぜひ体験したいのが「熊野川」の川舟巡り。熊野詣に使われた熊野古道は、山の中だけではありません。
熊野川は、世界で唯一「川の参詣道」としてユネスコ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録されている川です。
熊野川の歴史と川船文化を知る
三重県南牟婁郡紀宝町(きほうちょう)を拠点に熊野川を案内してくれるのは、2025年から「熊野川体感塾」で活動する北原潤希さん。
埼玉県から地域おこし協力隊として紀宝町へやってきた北原さんは、熊野古道や熊野川の歴史に興味を持ったことが、三重を訪れるきっかけになったそうです。
乗船前に、昔の写真や資料を見せてもらいながら、熊野川を行き交った川船や、川とともに育まれてきた文化について教えてもらいました。
熊野古道の巡礼では、峠道だけでなく、熊野川も重要な参詣の道として使われてきたといいます。
さらに熊野川は、参詣のためだけではなく、物資を運ぶ交通の要所としても、人々の往来を支えていました。
アユなどの漁も盛んに行われ、川は地域の人々の暮らしと深く結びついていたのです。
今回体験するのが、三つの帆を持つ川舟「三反帆」です。最大8人まで乗ることができ、昔ながらの舟の姿をもとに造られています。
その特徴は、大きく反り上がった特徴的な船の舳先。
さらに、この形は岸へ接岸するときにも役立つのだとか。
現在の三反帆は、かつて熊野川で使われていた舟を再現したもの。木造の川舟そのものも、今では全国的に貴重な存在です。
三反帆を作り続ける匠・谷上さん
この三反帆を手作りしているのが、「熊野川体感塾」発起人の一人であり、北原さんの師匠、谷上嘉一さんです。
かつて熊野川周辺では、一家庭に一隻の船を持つことも珍しくなかったといいます。
50年前、アユ捕りが趣味だった谷上さんも、「自分で船を作ってみたい」と思ったことをきっかけに、船づくりに挑戦。
曲線の多い木造船は、細かな手仕事の積み重ねです。
谷上さんは独学で技術を身につけ、一隻ずつ手作りしてきました。
一度途絶えた三反帆を、再び熊野川へ
かつて熊野川を行き交っていた三反帆は、昭和30年代まで運航していました。
当時は、上流から石炭や生活物資を運ぶために使われていたそうです。
帰りは海からの風を使って、帆を立てて上流へ戻っていったんですね。
川を下るだけではなく、帆を利用して再び上流へ――。熊野川の流れと風を巧みに利用した、当時の舟運の知恵がうかがえます。
当時は14~15メートルほどの団平(だんべい)船も活躍していましたが、現在の体験で使用する船大工・谷上さんお手製の三反帆は、全長8.7メートル、幅1.8メートル、帆柱の高さは4.5メートルです。
その後、道路整備と車社会の進展により三反帆は姿を消しました。
しかし、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界文化遺産に登録されたことをきっかけに、かつて熊野川を行き交った三反帆を復活させようという動きが始まります。
2007年には、谷上さんをはじめとする地域の有志が集まり、「熊野川体感塾」を設立。谷上さんが手がけた三反帆を使い、途絶えていた舟の文化を復活させました。
そして2025年からは、北原さんが三反帆の運航を担っています。
かつて熊野川を行き交った舟の文化は、熊野古道の歴史に思いを寄せ、三反帆を後世に残そうとする人々の手によって再び息を吹き返し、今も次の世代へと受け継がれています。
1000年以上続く神事「御船祭」
現在も、熊野川には歴史を受け継ぐ文化が残っています。
世界遺産・熊野速玉大社で毎年10月に行われる「御船祭」もその一つ。1000年以上続く伝統の例大祭で、熊野川を舞台に神事が行われています。
祭りで使用される9隻の船は、20年前に谷上さんが製作したもの。
完成した船も、作って終わりではありません。毎年点検を行いながら、大切に保存されています。
川の参詣道を三反帆でたどる
ライフジャケットを借りて、乗船準備。川舟に乗り込むと、穏やかに流れる熊野川が目の前に広がります。
舟がゆっくりと川面を進み始めると、聞こえてくるのは水の音と川風、そして時折聞こえる鳥の声。
両岸の豊かな自然を眺めながら、静かに流れる時間に身をゆだねます。
熊野古道を歩く巡礼者はもちろん、家族連れや海外からの団体客など、さまざまな人が三反帆を体験しに訪れているそうです。
川とともに育まれてきたこの土地の歴史を感じながら、ゆっくりと川を進みます。峠道を歩くだけではない熊野古道の旅。
世界遺産に登録された「川の参詣道」を舟からたどることで、熊野の自然と歴史をより深く感じることができました。
- 運航期間:3月~12月中旬(予約制)
- ライフジャケット:着用必須(熊野川体感塾で貸し出しあり)
- 所要時間:1時間~1時間30分(乗船前の説明を含む)
- 最少催行人数:1名
- 料金:大人5,000円/子ども4,000円(小学生以下)
- ※1名で利用する場合は1人10,000円で運航
- 注意事項:悪天候や河川の状況により、コース変更または欠航となる場合があります。
| 名称 | 熊野川体感塾 |
|---|---|
| 住所 | 三重県南牟婁郡紀宝町北檜杖276-1 |
| 電話番号 | 0735-21-0314 |
| 料金 | 大人:5,000円 / 子ども(小学生以下):4,000円 ※1名様のみでご利用の場合は10,000円で運航 |
| 集合時間 | 10:00 または 13:00(応相談) |
| 営業日 | 3月~12月中旬(予約制) |
| アクセス | 【バス】紀宝町町民バス 浅里鵜殿線「横手前」下車すぐ |
ウミガメに出会える「道の駅 紀宝町ウミガメ公園」
三反帆で熊野川を巡った後は、「道の駅 紀宝町ウミガメ公園」へ。
ウミガメの保護・啓発活動の拠点として、ウミガメについて学び、実際にその姿を間近で見ることができる施設です。
ウミガメ水族館でウミガメを間近に観察
施設内にある「ウミガメ水族館」では、大きなプールを悠々と泳ぐウミガメに出会えます。
大きな体でゆったりと水の中を泳ぐ姿を眺めていると、こちらまで穏やかな気持ちに。
資料館では、ウミガメの生態や保護活動についても学ぶことができます。
餌やり体験ができる日もあり、ウミガメをより身近に感じられるのも魅力。
実際にその姿を観察しながら、ウミガメを取り巻く環境や、守るための取り組みについて考えるきっかけにもなります。
小さなウミガメは別のプールに。
かわいらしい姿に癒やされながら、ウミガメが暮らす海の環境にも思いをはせる時間になりました。
「ウミガメ水族館」のショップでは、ウミガメや海洋生物をモチーフにしたお土産も充実。
旅の記念にお気に入りを探してみてはいかがでしょうか。
物産館で紀宝町のお土産探し
続いては、物産館へ。地元で採れた旬の野菜や果物をはじめ、お弁当や箱菓子など、紀宝町ならではのお土産グルメが並びます。
6月頃には梅、9月から3月頃にはさまざまな柑橘が店頭を彩るそうです。
熊野古道をたどり、川の参詣道を舟で巡った旅の最後に、地域の特産品を探すひととき。旅の思い出とともに、紀宝町の味も持ち帰ります。
| 名称 | 道の駅「紀宝町ウミガメ公園」 |
|---|---|
| 住所 | 三重県南牟婁郡紀宝町井田568-7 |
| 電話番号 | 0735-33-0300(物産館) |
| 営業時間 | 【物産館】8:30~18:00 【ウミガメ水族館】9:00~18:00 【きほう食堂】8:30~15:00 【STAND LUCKY】10:00~16:00(土日祝 10:00~17:00) |
| 定休日 | 年中無休 |
| アクセス | 【バス】JR「熊野市駅」より新宮駅行バスで約30分「井田舞子」下車すぐ 【列車】JR紀勢本線の「紀伊井田駅」より徒歩約15分 |
「南紀・熊野古道フリーきっぷ」で海と川をめぐる熊野古道旅
七里御浜の浜街道を歩き、みかんのまち・御浜町でご当地グルメや特産品を楽しみ、世界遺産「川の参詣道」では三反帆に乗って熊野川を巡る――。
中辺路コースでは、峠道とはまた違う熊野古道の魅力に出会うことができました。
3日間有効の「南紀・熊野古道フリーきっぷ」なら、列車やバスを組み合わせながら、日にちを分けてゆったりと熊野古道をめぐる旅が楽しめます。
熊野古道を歩くだけではなく、その土地の景色や歴史、食にも出会えるのが、この旅の魅力。ぜひ「南紀・熊野古道フリーきっぷ」を活用して、三重県・東紀州、熊野古道の旅へ出かけてみてください。
