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三重県最南端にある「飛雪の滝キャンプ場」で、障がいがある人も滝あそびを体験!

掲載日:2021.03.19

三重県と和歌山県を隔てる熊野川のそばにある「飛雪の滝キャンプ場」は、飛雪の滝と呼ばれる落差30mにもなる美しい滝を擁する、三重県最南端のキャンプ場です。自然に囲まれた環境の中には、テントサイトやコテージの他、売店・交流施設(フロント)、炊事棟、バーベキュー棟など設備が充実。
中でもコテージは8棟すべてがバリアフリー仕様となっていて、高齢者や体の不自由な人にもやさしい施設となっています。
そんな飛雪の滝キャンプ場で、名物の飛雪の滝を使った新たなバリアフリー観光の取り組みが進められていると聞き、訪れてみました。

飛雪の滝キャンプ場では、滝つぼで泳いだり、空気を入れて膨らませる安全なカヌー「ダッキー(インフレータブルカヌー)」に乗ったりと、滝を使ったアクティビティが人気です。
そこで、この滝あそびを身体の不自由な人にも楽しんでもらいたいと秘密兵器を導入。
それがこの「ビーチスター」!

砂地を走行しても沈み込まない極太の低圧タイヤと、ひじ掛けを兼ねたフロートによって、人を乗せたままでも水に浮かぶビーチ用車いすです。
そこで、より安全で快適に遊んでもらえるよう、バリアフリー観光に取り組む人々がビーチスターと滝あそびの体験&講習会を開催。

今回講師を務めたのが、伊勢志摩バリアフリーツアーセンターの中村千枝さんと中山めぐみさんのお二人。
普段から高齢者や障がい者の旅行に関する相談に乗ったり、施設のバリアフリー化のアドバイスをしたりと、バリアフリー観光に精通した専門家です。

また、みんなが楽しく海水浴を楽しんでもらえるようにと活動する、愛知県の南知多ユニバーサルビーチプロジェクトのメンバーも加わり、参加者、スタッフ合わせて30名ほどで和気あいあいと行われました。

キャンプ場のシンボル、飛雪の滝の前で講習が行われることから、ウェットスーツに身を包んだ参加者たちが集まります。

滝の前まではすべて舗装されたスロープが設置されているので、車いすやベビーカーでも簡単にアクセス可能です。
講師の中村さんからビーチスターの説明と水に入る際の注意などが行われ、いよいよ参加者がビーチスターに乗り込みます。

最初に体験したのが、南知多ユニバーサルビーチプロジェクトのアドバイザーである佐川葵さん。佐川さんは平坦な道ならゆっくりと歩行ができるため、車いすの手すりやひじ掛けなどを使い、自力で乗ることができました。
乗り込む際、ビーチスターがぐらぐらと動かないよう、しっかり固定してほしいとの要望が参加スタッフに伝えられました。

続いて体験したのが、南知多ユニバーサルビーチプロジェクトのアドバイザーの土井健太郎くん。「ケンケン」の愛称で親しまれています。
土井くんはお母さんが抱きかかえるようにして、車いすからビーチスターへと移乗。ビーチスターの座面は小さな身体の土井くんには大きすぎるため、背中に隙間ができたほか、安全ベルトの位置も高く、背中へあてるマットや子ども用ベルトの必要性などが確認されました。

3人目は、紀南バリアフリー研究会の森岡寛佳さん。森岡さんは介護職員に抱えられて車いすから乗り移りました。車いす利用者はお尻への圧力分散と姿勢を保つため、専用のクッションを使用していますが、ビーチスターにも同様のクッションがあるほうが座りやすいと当事者ならではのアドバイス。
障がいの種類や動かせる機能によってサポートの仕方が違うこと、大人と子供の身体の違いによる安全確認の仕方などを学ぶことができました。

移乗体験の後には、いよいよ滝つぼへ入ります。滝つぼまでの道は舗装されていませんが、南知多ユニバーサルビーチプロジェクトが持ち込んだビーチマットを敷けば、砂利や砂などの道も安全に進むことができました。

滝あそび体験の最初は土井くんが挑戦。キャンプ場のスタッフと南知多ユニバーサルビーチプロジェクトのメンバーが一緒に水へ入ります。

初めての滝あそびに土井くんはこの笑顔!まだ肌寒い時期でしたが、水を掛け合ったりして遊んでいます。
「ケンケーン、すごいねー!」周りからも歓声が上がります。

さらに土井くんのお姉さんたちと共にダッキーに乗り換え、滝を目指します。お姉さんと一緒にオールを漕いで、とにかく楽しそう。

続いて挑戦するのが佐川さん。ビーチスターでぷかぷかと浮かびながら、滝の迫力と美しさを楽しみました。

さらにダッキーにも乗り換え、滝の真下へエントリー。頭の上から足の先までずぶぬれになりながら、滝の迫力を全身で体感!

滝あそびの後には、この日のために用意されたテントサウナで冷えた身体を温めます。
障がい者の中には低体温になりやすい人も多いため、水遊びの後にサウナやお風呂にすぐ入れる環境はとても助かるそうです。

この日の最後には、講師や体験者などから感想と今後に向けてのアドバイスがなされました。
身体の状態やできることが一人一人異なるため、対応の仕方は人それぞれ。誰もが安心して滝あそびができるよう、たくさん収穫のあった講習会となりました。

講習会の後はみんなでキャンプ場の施設を見学しました。
全棟バリアフリー仕様となっているコテージは、入口にスロープが敷かれ、車いすやベビーカーでも楽々アクセス。室内には段差がないので、車いすでの移動にストレスがありません。

手すりの設置されたトイレや浴室も整備されているので、キャンプをするのに躊躇していた人も安心して利用することができます。

土井くんとお母さんも「ここなら遊びに来られるね」と嬉しそうです。
「ここは設備も充実しているし、環境も良いので本当におすすめ」と、さまざまな施設のバリアフリー調査をしてきた伊勢志摩バリフリーツアーセンターからもお墨付きをいただきました。

BBQコンロやハンモック、ライフジャケットなどのレンタルもあり、滝あそびやバーベキューなどの日帰り利用もできます。

交流施設内やバーベキュー棟の前には車いすや乳幼児連れ対応のトイレも用意されているので、まずは気軽なデイキャンプに訪れてみてはいかがでしょうか。

「一人でも多くの人に飛雪の滝で遊んでほしい」という願いを持つ飛雪の滝キャンプ場。
三重県屈指のバリアフリー観光スポットとして、アウトドアを楽しみたい人を真心をもって迎えています。
名称

飛雪の滝 キャンプ場

住所
南牟婁郡紀宝町浅里1409-1
電話番号

0735-21-1333

公式URL
料金

詳しくは公式サイトをご確認ください。

営業時間

通年営業

休日

年中無休
※お電話の受付時間は9:00~17:00
※施設管理、メンテナンス等で臨時休業をいただく場合もございます。

駐車場

あり

公共交通機関でのアクセス

JR新宮駅から町民バス浅里神社前下車2分

車でのアクセス

【名古屋方面から】
熊野尾鷲道路熊野大泊ICから国道42号を新宮方面へ約50分(約35㎞)
【大阪方面から】
紀勢自動車道すさみ南ICから国道42号を新宮方面へ約1時間40分(約80㎞)

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