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「心のバリアフリー認定制度」ってなに? 知っておきたい制度のあれこれ

三重県では、地域が一体となり「心のバリアフリー」の意識を向上させ、障がいを有する方や高齢者、外国人など多様な方々が安心して訪れることのできるバリアフリーの観光地づくりを推進するために、「観光施設における心のバリアフリー認定制度」への登録を促進しています。この記事では、「観光施設における心のバリアフリー認定制度」の内容や、施設のユニークな取り組みについてご紹介します。ぜひこの制度のことを知ってください!

目次

「観光施設における心のバリアフリー認定制度」とは

  施設のユニークな取り組み

 

「観光施設における心のバリアフリー認定制度」認定を目指しましょう!

 

 

「観光施設における心のバリアフリー認定制度とは」?

バリアフリー対応やバリアフリー情報の発信に積極的に取り組む観光施設を対象とした認定制度です。観光庁により202012月に創設されました。

この制度の特色は、車いすトイレやバリアフリールームなどの「設備の有無」ではなく、車いすの貸し出しや視覚障がい者・聴覚障がい者への対応などといった「ソフト面での取り組み」が認定の基準となること。

 
   
「観光施設における心のバリアフリー認定制度」の認定マーク

 

認定された施設は、このような「認定マーク」を施設の入口やフロントに掲示したり、Webサイトやパンフレットなどに掲載することができます。

つまり、このマークのある施設は「バリアフリーなおもてなしを理解し実践している施設」ということですね!今後、施設を選ぶときの参考になるマークなので、覚えておきたいですね。

 20233月現在、対象施設は

 ・ 宿泊施設

 ・ 飲食店

 ・ 観光案内所

3種類ですが、今後、対象となる施設種類は拡大されていくそうです。

施設のユニークな取り組み

令和4年度、三重県は「観光施設における心のバリアフリー認定制度(以下、「心のバリアフリー認定制度」)」の周知および申請支援事業を実施しました。

事業は伊勢志摩バリアフリーツアーセンターが受託し、県内3ヶ所での研修会や申請手続きの相談を開催。36事業所、55名の方に受講していただきました。

 研修会に参加し申請を行った施設の中には、ユニークな取り組みを行っているところもありましたので、ご紹介します。

 

宿泊施設:鳥羽シーサイドホテル

障がいがある方も楽しめる「SSピンポン」専用台を設置

鳥羽シーサイドホテルで「SSピンポン」を楽しむみなさん

「SSピンポン」とは、視覚障がい者向けの競技「サウンドテーブルテニス」から派生し、2015年に三重で始められたスポーツ。球を転がし、卓球台とネットの間をくぐらせて打ち合います。

ボールの中には金属が入っていて転がすと音がするので、打球の速度や方向が音でわかるようになっています。

台の縁に立ち上がりがあって球が落ちにくいので、楽しくラリーが続けられるのも魅力。

SSとは生涯(Syogai)スポーツ(Sports)。その名のとおり、視覚障がい者はもちろん肢体不自由な方や小さなお子さんなど、誰でも一緒に楽しめるのが「SSピンポン」です!

 

鳥羽シーサイドホテルさんでは、卓球台のうち1台をSSピンポン専用台に改造して常設。

宿泊客以外の日帰り利用もOKなので、いつでも、だれでも体験できる環境が整いました。

 

SSピンポン料金:50800/1

 

飲食店:お菓子処 桔梗屋織居

飲み込みやすく食べやすい「やわらか おかゆ大福」

桔梗屋織居で販売されている「やわらか おかゆ大福」

 

創業400有余年の老舗和菓子店「桔梗屋織居」さん。

こちらの「おかゆ大福」は、高齢などで飲み込むことが難しくなった方にも食べることを楽しんでほしい、との思いから開発された大福風スイーツです。

うるち米で作ったやわらかい生地で、さらさらしたこしあんを包んでいます。形はちゃんと「大福」なのに、口に含むとすぐにほぐれるので、無理なく飲み込むことができ、食べた!という満足感も得られるすぐれもの。

福祉施設の方からも大変喜ばれているそうです。

店内にはイートインコーナーがあり、「心のバリアフリー認定制度」には飲食店として申請していただきました。

 

 

観光案内所:紀北町観光サービスセンター(紀北町観光協会)

バリアフリー情報をまとめた資料を作成

車いすトイレのバリアフリー調査をしている紀北町観光サービスセンターのスタッフ

緑深い山々に囲まれ、「世界遺産熊野古道」のある紀北町。

紀北町観光サービスセンターは、そんな紀北町の入口、「道の駅紀伊長島マンボウ」の隣で観光案内をしています。

こちらではスタッフさんみずから、授乳室や多目的トイレのある場所や、車いすで入りやすい施設などの情報を集め、案内に活用しているそうです。

現地の方からの正確な情報は、旅行に不安がある方にとって何より頼りになるもの。お客様に安心してもらうとともに地域のホスピタリティもアピールできる、素晴らしい取り組みですね。

営業時間:930分~1730

 

施設の方へ 「観光施設における心のバリアフリー認定制度」認定を目指しましょう!

認定のメリットは?

すべての方々に安心して利用していただける施設を目指すことは、サービスの向上やビジネスチャンスの創出といった面でも欠かせない要素となってきていますが、設備面でなくソフト面での対応なら、施設の規模や顧客層に沿った創意工夫で、すぐにでも取り組むことが可能です。

また、下記の「3つの認定基準」を見ていただくと、普段から自施設で行っていることばかり、という施設さまも多いと思います。当たり前のおもてなしだし、わざわざ認定されなくても…と、考える方もいるでしょう。

しかし、今までソフト面での受け入れ態勢についてお客様が判断できる基準は少なく、選びにくいという声もあったところへ、この認定制度ができました。今後は、「心のバリアフリー認定制度」に認定されているかどうかが、お客さまが施設を選ぶ基準の1つとなる時代がやってくると思われます。

ぜひ認定を受けて、「当施設ではバリアフリーなおもてなしを推進しています」というアピールを行っていきましょう!

2021年、改正障害者差別解消法が成立し、3年以内に施行されることが決まりました。これにより、民間事業者では努力義務とされていた「合理的配慮の提供」が法的義務となります。

「心のバリアフリー認定制度」への申請を行う中で、自施設でどういった「合理的配慮」の対応ができるかを見直しておくことは、法改正への準備にもなります。

また、観光庁のウェブサイトでは、全国の認定施設一覧が随時更新されています。

企業や行政の方もチェックしているようですので、認定されることにより、新たなビジネスチャンスが生まれることもあるかもしれません。

この機会に、認定に向けてチャレンジしてください!

3つの認定基準とは?

「心のバリアフリー認定制度」の認定を受けるには、以下の3つの基準をすべて満たすことが必要です。

施設のバリアフリー性能を補完するための措置を3つ以上行っている

バリフリーに関する教育訓練を年に1回以上実施

自社のウェブサイト以外のウェブサイトでバリアフリー情報を積極的に発信

それぞれ、順を追ってご説明します。

 

認定基準①

施設のバリアフリー性能を補完するための措置を3つ以上行っている

 

(例) 

【宿泊施設】

  ・車いすの貸し出しがある

  ・シャワーチェアの貸し出しがある

旅館の大浴場に置かれているシャワーチェア

 ・段差解消のための簡易スロープを用意している

 ・畳の宴会場にテーブル席や高足座椅子を用意している

畳の宴会場にテーブル席が用意されていて、車いすの方が席についているようす

  ・エレベーターのボタンや客室の部屋番号に点字表示をしている

  ・手話ができるスタッフがいる

  ・「耳マーク(聴覚障がいの方への配慮を表すマーク)」を表示して、聴覚障がい者受入れの姿勢を表している

ホテルのフロントに掲示されている「耳マーク」

  ・ 聴覚障がいや言語障がいのお客様のために筆談ボードを用意して、筆談で対応している

  ・ 発達障がいや認知症のお客様のために、食事会場はパーテーションで他のお客様と区切ることができる、または、個室の用意ができる

  ・ 視覚障がいや知的障がいのお客様から要望があったときには、スタッフが大浴場での見守りを行っている

 

【飲食店】

  ・ 車いすで来店と事前に連絡があったときには、入口の段差をスタッフが介助している

  ・ 握りやすいスプーン・フォーク、滑りにくくすくいやすい皿など、ユニバーサルな食器を用意している

  ・ 刻み食、ペースト食などの介護食への対応を行っている

  ・ 視覚障がいのお客様には、メニューを読み上げている

  ・視覚障がいのお客様には、クロックポジション(時計の文字盤に例える方法)を用いて「6時の方向に味噌汁」というように配膳の説明をしている

クロックポジションの説明イラスト

  ・ 聴覚障がいや言語障がいのお客様に指差しで示してもらえるよう、メニューは写真入りにしている

 など

 

【観光案内所】

・ 車いすの貸し出しがある

観光案内所の前に貸し出し用車いすが置かれているようす

  ・ 周辺の車いすトイレをまとめた地図を用意している

  ・ カウンター以外にテーブルも用意し、車いすのお客様が来訪したときにはテーブルで対応している

  ・ 点字や音声の観光案内を用意している

  ・ 手話ができるスタッフがいる

  ・「耳マーク」を表示して、聴覚障がい者受入れの姿勢を表している

  ・ 聴覚障がいや言語障がいのお客様のために筆談ボードを用意して、筆談で対応している

 など

  

認定基準②

 バリアフリーに関する教育訓練を年に1回以上実施

  ・ 従業員を教育する立場にある方が、障がい者に対する講演会や研修会へ参加する

  ・ 観光庁のウェブサイトに掲載されている研修用動画を視聴する

車いすの方からアドバイスを受けているホテルスタッフ

施設に講師を招き、バリアフリー接遇についてのアドバイスを受ける

テキストを用いて従業員同士で自主研修を実施する

公式ウェブサイト担当者がバリアフリー情報の発信方法を学ぶ

 など

  

認定基準③

自社のウェブサイト以外のウェブサイトでバリアフリー情報を積極的に発信

  ・宿泊予約サイトやグルメサイトなどに「車いすの貸し出しあり」「車いす対応トイレあり」「バリアフリールームあり」「筆談で対応します」「刻み食に対応しています」「お手伝いの必要な方はスタッフに申し出てください」など、何らかのバリアフリー情報が掲載されている

  ・観光協会や観光連盟などの外部サイトに、何らかのバリアフリー情報が掲載されている

  ・伊勢志摩バリアフリーツアーセンターなど、地域のバリアフリー観光情報を発信しているサイトに掲載されている

 

 

  

わからないことは伊勢志摩バリアフリーツアーセンターへ

「心のバリアフリー認定制度」の申請は、観光庁で随時受け付け中です。

申請書の作成はそう難しくありません。施設を精査するのではなく、心のバリアフリーを促進することが目的なので、3つの認定基準と必要書類が揃っていれば、ほぼ認定されます。

現時点では観光施設は対象外ですが、施設内にレストランや、観光情報を提供しているインフォメーションがあれば、それぞれ飲食店・観光案内所として申請することができます。

申請方法や申請書への記入についてわからないことがあれば、伊勢志摩バリアフリーツアーセンターまでお問い合わせください。

 

伊勢志摩バリアフリーツアーセンター

517-0011 三重県鳥羽市鳥羽一丁目2383-13 鳥羽1番街1

TEL0599-21-0550 FAX0599-21-0585

URL https://www.barifuri.com

E-MAIL iseshima@barifuri.com

営業時間 9301700 木曜定休

  

「観光施設における心のバリアフリー認定制度」について、詳しくはこちら

外部サイトが開きます

https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/innovation_00001.html

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