みえの推し活!【鳥羽水族館】 “ダイオウグソクムシ”ブームの火付け役 飼育係・森滝さん イチ推しの「へんな生きもの」に会いに行こう!
今年(2025年)5月に開館70週年を迎えた鳥羽水族館。数あるエリアの中から、最もディープな「へんな生きもの研究所」をレポートします!
鳥羽水族館といえば、日本で唯一飼育されているラッコやジュゴンを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
アシカやセイウチの愛嬌満点のショーも大人気ですよね。
でも、鳥羽水族館の魅力はそれだけではありません! 実は、飼育している生きものの種類は約1200種と、日本一を誇る水族館なんです。
新企画「みえの推し活!」スタート!
この企画では、三重県内の観光を支える事業者、観光協会、市町などで構成される、三重県観光連盟「事業企画・宣伝委員会」の皆さんが紹介する、"中の人"たちの「推し」を深掘り取材。
中の人だからこそ知りえる情報や熱い想いを通じて、三重県の新たな魅力を発見していきます!
記念すべき 第1回は、今年(2025年)5月に開館70周年を迎えた鳥羽水族館。 数あるエリアの中から、最もディープな「へんな生きもの研究所」をレポートします!
案内してくださるのは、飼育係の森滝さん。
森滝さんの「推し」である「へんな生きもの」たちを教えてもらい、鳥羽水族館の奥深い世界をのぞいてみましょう!
森滝さんってどんな人? “ダイオウグソクムシ”ブームの火付け役!
「へんな生きもの研究所」を案内してくださる飼育係の森滝さん。
実は、あの“ダイオウグソクムシ”ブームの火付け役ともいえる人物なんです!
きっかけは、2007年に初めて鳥羽水族館にやってきた一匹のダイオウグソクムシ。
その個体が2年以上エサを食べないことを森滝さんがブログで発信したところ、そのユニークな生態にメディアが注目!
最終的に丸5年間も絶食したこのダイオウグソクムシは、大きな話題を呼び、一大ブームを巻き起こしました。
そして、2013年にオープンした「へんな生きもの研究所」の立ち上げメンバーに抜擢されます。
日陰の生きものにスポットを!「へんな生きもの研究所」誕生秘話!
そもそも、なぜ「へんな生きもの研究所」は作られたのでしょうか。
当時から飼育種類数日本一を誇る鳥羽水族館では、三重県の熊野灘で深海生物の収集も進めていました。
しかし、そこで見つかるユニークな生きものたちは、体が小さいがゆえに大きな水槽にまとめて入れられ、水槽の片隅でひっそりとしている「日陰の存在」でした。
「この面白い生きものたち、一匹一匹にスポットライトを当てたい!」
そんな想いから、彼らを主役にするための「研究所」が誕生したのです。
薄暗い部屋に水槽が整然と並び、ポンプの音だけが響く空間。
まさに「ラボ」と呼ぶにふさわしい、少しあやしい雰囲気が漂うこの場所に、森滝さんの「推し」が待っています。
推し①:5年間絶食で話題!ダイオウグソクムシの魅力!
森滝さんの最初の推しは、へんな生きもの界のトップアイドル“ダイオウグソクムシ”!
陸地にいたら思わずギョッとしてしまうフォルムですが、水槽越しにじっと見ていると、どこか可愛らしさも感じられます。
世界最大のダンゴムシの仲間(体長は最大50cm!)ですが、ダンゴムシのように丸くなることはできません。
「これ、本当に生きてる…?」と心配になるぐらい、しばらく観察していても、ピクリともしません。
森滝さんも初めて鳥羽水族館に来た個体を見たときは「動かないし、エサも食べない。弱っているのかな?」と心配したほど、とにかく動きがゆっくり。
日中はほとんど動かず、1週間たっても同じ位置にいることもあるそうです。
森滝さんはダイオウグソクムシの魅力をこう語ります。
「ずっと見ていると、気持ちが落ち着いてくるんです。ダイオウグソクムシのペースに同調していくんですね」
その不思議な「癒し」の感覚を、ぜひ体験してみてください。
推し②:森滝さんが名付け親!カガミモチウニの意外な習性
続いての推しは、なんともおめでたい名前の“カガミモチウニ”。
このウニ、自然界では誰も見たことがなかった、あるユニークな習性を持っていました。
それは、メスの上にオスがちょこんと乗るというもの。
その姿がまるで鏡餅のように見えたことから、森滝さんが“カガミモチウニ”と和名をつけたのです!
さらに、オス同士がメスを巡って場所を取り合う恋模様?も、飼育する中で観察されました。
「水族館でじっくり飼育するからこそ、これまで知られていなかった生態がわかることが多くあります。飼育を通じて一つずつ謎を解き明かせるのが、へんな生きものの魅力ですね」と森滝さんは語ります。
「へんな生きもの研究所」での発見が、生きものたちの新たな歴史を作っているのです。
推し③:ヤドカリの家を増築する、ヒメキンカライソギンチャク!
※ジンゴロウヤドカリの背中にある白いフワフワしたイソギンチャクが、ヒメキンカライソギンチャクです。
最後にご紹介するのは、ジンゴロウヤドカリと驚きの共生関係を築く“ヒメキンカライソギンチャク”です。
普通のヤドカリは成長するたびに、新しい貝殻を探して引っ越しを繰り返します。
しかし、ジンゴロウヤドカリと共生するヒメキンカライソギンチャクは、ヤドカリの成長に合わせて、ヤドカリの家を増築してくれるのです!
ヤドカリは面倒な引っ越しの回数が少なくなり、ヒメキンカライソギンチャクにとっては、ヤドカリに運んでもらえて、食べ残しのおこばれをもらうなど、栄養を得やすくなります。
まさに持ちつ持たれつの理想的な関係ですね。
さらに面白いのが、ヤドカリたちの行動です。
ヤドカリ同士がこの有能なパートナーを取り合う様子や、大きな貝殻に引っ越したヤドカリが、古い貝殻からヒメキンカライソギンチャクを丁寧にはがして、新しい貝殻に付け直す様子まで見られるというから驚きです。
「飼育を通じて、こうした生きものの不思議な生態を明らかにできたときは、飼育係冥利に尽きます。今は彼らの魅力を皆さんに伝えることに、一番のやりがいを感じています」と、森滝さんは笑顔で語ってくれました。
【見逃し注意!】へんな生きもの研究所への行き方
今回紹介した3種類をはじめ、へんな生きもの研究所では、約60種類ものユニークな生きものたちを展示しています。
とても、すべての生きものの魅力を伝えきることはできません!
ぜひ皆さんご自身の目で、不思議な姿や謎に満ちた生態を観察しに、鳥羽水族館を訪れてみてください。
鳥羽水族館は決まった順路がなく、好きな場所から自由に見られるのが大きな魅力。
だからこそ、「へんな生きもの研究所」を見逃さないよう要注意です!
日本で唯一会えるジュゴンがいる「人魚の海」と、大人気のラッコがいる「極地の海」を通り過ぎ、ペンギンやセイウチがいる「水の回廊」の出入口付近に、まるで秘密基地の入口のように「へんな生きもの研究所」はひっそりと佇んでいます。
人気の生きものたちに夢中になっていると、うっかり通り過ぎてしまうことも。
この「あやしい雰囲気の入口」を、ぜひ見つけてみてください!
ここでしか手に入らない! 「へんな生きもの」グッズ
一世を風靡したダイオウグソクムシをはじめ、鳥羽水族館のオリジナルグッズは、館内のショップで購入することができます。
取材時点(2025年7月)での、ラインナップは、ダイオウグソクムシのぬいぐるみ特大(7,150円)、Lサイズ(5,280円)、白Ver.(6,600円)など。
通信販売はしていないため、皆さんぜひとも現地を訪れてゲットしてください!
※価格は取材時点のものであり、変更になる場合があります。
70周年の企画展「大発見!ワクドキ深海アドベンチャー ~熊野灘から見る深世界~」
鳥羽水族館では、70周年に合わせて、2025年7月19日(土)から11月3日(月・祝)まで、深海探査の映像資料・採集された動物などを展示する、熊野灘の深海帯域にクローズアップするイベントが開催されています。
普段は「へんな生きもの研究所」に籠っている深海生物たちが、今回は主役として大々的にフィーチャーされていますので、こちらも必見です!
70周年を記念して、この他にも楽しいイベントが盛りだくさん!
詳しくは、鳥羽水族館70周年記念サイト(https://aquarium.co.jp/70th/)でチェックしてみてくださいね。
鳥羽水族館 公式ブログ「飼育日記」
森滝さんをはじめ、鳥羽水族館の飼育係のみなさんの「推し」がつまった鳥羽水族館 公式ブログ「飼育日記」(https://aquarium.co.jp/diary/)でも、鳥羽水族館の生きものの成長や、バックヤードの裏話を読むことができます。
ぜひとも、みなさんの推しを見つけてください。
鳥羽水族館
大人 2,800円、小人(小・中学生) 1,600円、幼児(3才以上)800円
9:30~17:00(入館は閉館の1時間前まで)※時期により変動あり
年中無休
500台(有料)※駐車場料金1000円
JR・近鉄鳥羽駅から徒歩約10分
伊勢二見鳥羽ライン・鳥羽終点から約5分
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