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本物のロウソクを使ったボンボリで幻想的な盆踊り。亀山の伝統「灯おどり」が4年ぶり開催の亀山市納涼大会にて復活

亀山の地場産業であるロウソクに火を灯したボンボリを持って踊る「灯おどり」が亀山市納涼大会にて4年ぶりに復活。亀山市納涼大会では竹あかりも展示され、幻想的な灯(あかり)のイベントが盛り沢山となりました。この記事では、灯おどりの魅力や、亀山市納涼大会当日の様子について詳しくお伝えします。

1.「灯おどり」とは

亀山市 灯おどり

「灯おどり」は昭和32年(1957)から続く亀山伝統の踊りです。

亀山の地場産業であるロウソクに火を灯したボンボリを手に持ち踊るのが特徴。
古くから、お盆の時期に開催される納涼大会にて、老若男女がボンボリを手に灯おどりを楽しんできました。

2019年以降はコロナ禍のため亀山市納涼大会が中止となっていましたが、2023年8月11日の4年ぶりとなる再開に伴い、灯おどりも復活となりました。

灯おどりのボンボリ

亀山市 灯おどり

灯おどりで使用されるボンボリには、LEDなど電気の灯りだけではなく、本物の火が灯されたリキッドキャンドルを使用しているものもあります。
リキッドキャンドルは、少し傾けてもリキッドが垂れないような造りになっているため、安全にボンボリを持って踊れるようになっているそう。

灯がボンボリの中でゆらゆらと揺らめく美しいさまは、火のついたロウソクを使用しているからこそ楽しめるものですね。

灯おどりの歴史

亀山市 灯おどり

亀山市提供:亀山駅前での納涼会 昭和32年(1957)以降の写真

灯おどりは、亀山駅前の伊藤弁当店の番頭さんがロウソクをモチーフにした踊りを発案し、それをもとに実際にロウソクを入れたボンボリを持った踊りが考案されたことがきっかけとなり始まりました。
以来、灯おどりは亀山市納涼大会や亀山市内の各地区の盆踊りなどで70年近く継承されてきました。

昭和の頃の写真を見ると、手元のボンボリが光の筋のように映っていて、とても幻想的です。
灯おどりならではの美しいショットですね。

灯おどりの楽曲

亀山市 灯おどり

灯おどりは「亀山音頭」「亀山小唄」の2曲に乗せて踊ります。
灯おどりが誕生した昭和32年(1957)頃、同時期に「亀山音頭」「亀山小唄」の2曲も誕生したそう。

どちらの楽曲にも亀山ならではの風景や、四季折々の様子が歌詞に込められています。
歌詞を見てみると、楽曲誕生時の昭和の時代ならではの着眼点の面白さや、令和の時代でも楽しめる亀山の風景の魅力が伝わってきます。
歌詞の中から気になるスポットを見つけて足を運んでみて、新たな亀山の魅力を知るのも良いかもしれません。

「亀山音頭」の歌詞を見てみる

1番
ハアー 与作愛しと 亀山通い 月に雪駄が 二十五足
小万お聞きよ 東海道は 今じゃ旅ゆく 汽車の笛
ヤンレサ 亀山 ヨイトコセ ハイ ヨイトコセ

2番
うぶなあの娘と 慈恩寺さんの 阿弥陀如来は 伏目がち
きょうも茶畑 茶の木のかげに そっとかくれて 紅つけた

3番
あなた野登 私は谷へ 紅葉尋ねて 石水渓
鈴鹿越えよと 能褒野に寄ろと 暮れりゃ亀山 灯が恋し

4番
嫁をとるなら お城の空に 霞む桜の やさ姿
婿がほしけりゃ 男の男 天を睨んだ 大公孫樹

「亀山小唄」の歌詞を見てみる

ヨイサノセー
鈴鹿山なみ 屏風にたてて ヨイサノセー
解いたしごきの 鈴鹿川ソレ鈴鹿川
桜ちれ お城の濠に ヨイサノセー
町のネオンの 花も散る

2番
ヨイサノセー
伊勢の茶どころ あの唄どころ ヨイサノセー
茶摘可愛や 紅だすきゾレ紅だすき
聞かせましょか 旅路の人に ヨイサノセー
関の小万の 心意気

3番
ヨイサノセー
花の亀山出てゆく汽車を ヨイサノセー
じっと見送る 一里塚ソレ一里塚
帰る燕も 来るかりがねも ヨイサノセー
お伊勢参りの 一休み

2.亀山市納涼大会にて灯おどり復活

「内田流寿好会」丹羽 良子さんインタビュー

亀山市 灯おどり

4年ぶりの灯おどり復活について、「内田流寿好会」の丹羽 良子(にわ よしこ)さんにお話を伺いました。

丹羽さんが灯おどりに携わり始めたのは、昭和53~54年(1978~1979)頃。
その後、昭和60年(1985)に発足した「灯おどり保存会」のメンバーとして、灯おどり文化の保存・継承に関わってきたそうです。

丹羽さん 「昭和の時代から続いてきた灯おどりが、コロナ禍によって2019年より中止となってしまいました。今年の復活が決まるまでは、毎年、夏を迎えても『灯おどりは無いんだ』と寂しい気持ちになりましたね。そして寂しさを感じると同時に、灯おどりを亀山の伝統芸能として残していきたいなという気持ちも強まりました」

亀山市 灯おどり

丹羽さんは日本舞踊の会「内田流寿好会」として、日本舞踊のほか、灯おどりなど全国各地の盆踊りの指導もされています。
灯おどりの再開が決まってからは、亀山市とともに、地域の子供達への振付指導や、振り付けYouTube動画の配信などに協力してきたそうです。

丹羽さん 「子供達はボンボリを手に、楽しそうに練習に参加してくれました。『浴衣を着て踊るのが楽しみ』と、納涼大会当日を待ちわびている様子も印象的でしたね」

亀山市 灯おどり

「全国いくつもの盆踊り指導に携わってきましたが、ボンボリを持って踊るというのは全国的にも珍しいのではないかと思います」と、丹羽さん。

「灯おどり保存会」での合言葉は「心に灯(ともしび)を」。
納涼大会のメインイベント「市民総踊り」にて亀山市民の皆さんがボンボリを手に持ち笑顔で灯おどりを楽しんでいる姿は、合言葉の通り心に灯がともっていたようでした。

亀山市 灯おどり

踊る側だけでなく、見る側も楽しめるのが、灯おどりの魅力です。
丹羽さんは「暗い時間帯に踊るので、無数のボンボリの灯が浮かび上がってゆらめく様がとても幻想的。見ているだけで癒されますよ」と、見る側の楽しみ方についても教えてくれました。

亀山市民や、灯おどり保存会の皆さんによって受け継がれてきた夏の風物詩・灯おどり。
丹羽さんのお話を通じて、その魅力を深く知ることが出来ました。

1,000個の灯を楽しむ「竹あかり」

亀山市 納涼大会

今年の亀山市納涼大会では竹あかりの展示もありました。
展示された竹あかりは、伊勢神宮や伊勢志摩サミットのほか、国内外で演出歴がある伊賀市の「カナエリア」によって総合演出されたものです。
約1,000個の「竹あかり」がキラキラと輝いていて、圧巻の光景でした!

亀山市 納涼大会

竹1本1本に細かく彫刻が施されており、近くで見てもうっとりする美しさ。
灯にはロウソクが使用されており、ロウソクの火の揺らめきが良い演出となって、竹あかりの美しさを際立たたせていました。

亀山市 納涼大会

カナエリアによる竹あかりの他、亀山中学校2年生180人が制作した竹灯篭も並びました。
1つ1つの作品が個性豊かで、ずっと見ていても飽きません。
制作者である中学生たちが竹灯篭を前に「これ私が作ったやつ!」と楽しそうに話している様子も印象的でした。

そのほか見所沢山!

亀山市 納涼大会

亀山市納涼大会は、灯おどりや竹あかりの他にも見所が沢山!
メイン会場では様々なプログラムが開催されました。

「Kids盆踊り」プログラムでは、子どもたちが舞台上でもノリノリなダンスを披露。
祭を見に来ていた子供や大人たちも、ステージを囲んで一緒にダンスを楽しんでいました♪

亀山市 納涼大会

亀山市の郷土芸能「葛葉太鼓(くずはだいこ)」も披露されました。
迫力満点な太鼓の演奏が公園中に響き渡っていました!

亀山市 納涼大会

灯おどりのほか、定番曲での盆踊りのプログラムもありました♪
亀山公園の芝生広場は盆踊りを楽しむ人でいっぱいに。

盆踊りや太鼓演奏、ダンスのほか、亀山公園一帯にたくさんの屋台が並び、公園内に設けられたサブステージでは音楽ライブイベントなども開催され、大変な盛り上がりを見せた亀山市納涼大会。
来年の開催も楽しみですね!

名称

亀山市納涼大会

開催期間(表示用)

2023年8月11日(金)

会場名

亀山公園(未定)

住所
〒519-0151 亀山市若山町
電話番号

0595-84-5074

料金

無料

駐車場

公共交通機関でのアクセス

・JR「亀山駅」から徒歩で約20分

車でのアクセス

・名阪国道「亀山IC」から約10分

MSLP by new end. Inc.の画像

MSLP by new end. Inc.

映像クリエイター、フォトグラファー、デザイナー、ライターなどが所属する三重県のクリエイターチーム。

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