舞い飛ぶ蝶「アサギマダラ」を追って!幻想的な三重のフジバカマ畑を巡る旅🦋

掲載日:2025.09.29

秋風が心地よく感じられる頃、旅人のような美しい蝶が日本の里山にやってくるのをご存知ですか?

その蝶の名はアサギマダラ。透き通るような水色(浅葱色)の斑紋を持つ、優雅で幻想的な姿から「旅する蝶」とも呼ばれています。全長10cmほどの小さな体で、本州から南西諸島、さらには台湾や香港まで、2,000kmを超える壮大な旅をする、まさにロマンあふれる存在です。

なぜそんな長旅ができるのか、その秘密は吸蜜する花にあります。アサギマダラは、特に毒を持つキク科のフジバカマを好んで蜜を吸います。この毒を体内に蓄積することで、鳥などの天敵から身を守っているのです。

三重県には、そんなアサギマダラが旅の途中で羽を休めるために立ち寄るフジバカマ畑がたくさんあります。今回は、みえ旅アンバサダーとして、三重県内でアサギマダラに出会えるおすすめのスポットを厳選してご紹介します!

アサギマダラに会うなら今がチャンス!最適な時期と時間帯

アサギマダラは、春に南から北へ、秋に北から南へ大移動を行います。三重県に飛来するのは、主に9月下旬から11月頃。特にフジバカマが満開になる10月が最も多くのアサギマダラを観察できる見頃とされています。

一日の中でも、アサギマダラが活発に蜜を吸う時間帯があります。晴れた日の午前10時頃から午後2時頃が、最も多くの蝶がひらひらと舞う姿を見られる絶好のチャンスです。今回は、これまでに実際に訪れて特に印象的だったスポットのなかで、今年の生育状況や駐車場の有無などを考慮し、2か所をご紹介します。

【スポット1】舞い飛ぶ「旅する蝶」と夢の庭。津市美杉町「愛和園」

秋風が心地よく感じられる頃、三重県津市美杉町の山あいには、いくつかアサギマダラが飛来する場所があります。

そのうちのひとつ、「愛和園(あいわえん)」。園内には、アサギマダラが蜜を好んで吸うフジバカマが広大な敷地に広がり、訪れる人を魅了します。管理人さんが一般的な淡い紫のフジバカマだけでなく白いフジバカマも植えていらっしゃるため、蝶はどちらの花にも自由に舞い、美しい光景を作り出しています。

愛和園を管理されているのは、中原孝夫さん。中原さんは会社を定年退職を迎えるころ、アサギマダラが飛来する里づくりを目指す地元のグループ「道里夢(ドリーム)」からフジバカマの株を分けてもらったことが、この庭園づくりの始まりでした。軽トラック1台分ほどだったフジバカマの株は、今では約5,000平方メートルにまで広がる大群生地に。この広大な敷地は、中原さんが自宅横の休耕田を借りて、丹精込めて育ててきた努力の結晶です。さらに、以前にご結婚された息子さん夫婦の名前から一文字ずつ取って「愛和園」と名付けたというエピソードは、この場所が単なる畑ではなく、家族への温かい愛情が込められた場所であることを物語っています。

訪れる人への温かい心遣い

愛和園は、中原さんのご厚意で無料開放されています。来園者がゆっくりとアサギマダラを観察できるよう、中原さんが自ら建てた休憩用の小屋や展望スペースが設けられており、そこで腰を下ろして蝶たちの舞を眺めることができます。小屋の中では、写真の展示や奥様の手作りのフジバカマの匂い袋も販売されていました。今年は新たに展望スペースを増設されていました。また、園内には駐車スペースも用意されているため、安心して訪れることが可能です。多い日には数十頭のアサギマダラが飛来し、その幻想的な光景は、写真や昆虫の愛好家だけでなく、日常の癒しを求める多くの人々を惹きつけています。中原さんの温かい心遣いと、アサギマダラの美しい舞いが織りなす「愛和園」です。

観察のベストシーズンと愛和園へのアクセス

アサギマダラが最も多く飛来するのは、9月下旬から10月中旬頃。特に晴れた日の午前中の10時頃が、観察におすすめとのことでした。

愛和園 津市美杉町太郎生3644

入場料無料、無料駐車場有

コラム

美杉でひとやすみ「Cafe きなもな」

愛和園から車で約3分の場所にある「Cafe きなもな」は、古民家を改装した、懐かしくて温かい雰囲気のカフェです。お店の名前は、店長さんが可愛がっている2匹のペキニーズ、「きなこ」と「もなか」から付けられたもの。運が良ければ会えるかもしれません。こだわりのモーニングセットをはじめ、さまざまなメニューが楽しめます。名張川沿いの里山の景色を眺めながら、ゆったりと過ごすことができます。アサギマダラの旅の余韻に浸りながら、美杉の隠れ家カフェで癒しのひとときをお過ごしください。


Cafe きなもな 津市美杉町太郎生4618-4


営業時間


平日11:00~20:00 土日祝7:00~20:00


ラストオーダー 19:00


小型犬同伴可(※マナーパンツ着用お願いします)

【スポット2】旅する蝶が舞い降りる里。津市一志町「里の丘広場」で出会うアサギマダラ

「里の丘広場」は、地元のボランティア団体「里山ファンクラブ」の皆さんが管理されている場所です。自治会で管理する土地にアサギマダラが好むフジバカマを植え続けてきました。熱心な活動により、今では約1,000平方メートルに広がるフジバカマ畑となり、アサギマダラの飛来地として知られるようになりました。

アサギマダラと里山の風景

「里の丘広場」では、会を運営する水谷会長さんのお話では、毎年10月10日前後から下旬にかけてアサギマダラの飛来が見られるとのこと。昨年には病害で一部のフジバカマが枯れてしまったこともあり、ご苦労をされたそうですが、残った株は成長し、今年は花を咲かせることと思います。園内は高台があり、ベンチに腰をすえてアサギマダラを観察できます。今年はこの高台にもフジバカマの株を増やして栽培してありました。

観察のベストシーズンと里の丘広場へのアクセス

アサギマダラが最も多く飛来するのは、10月中旬から10月下旬頃。特に晴れた日の午前中が、観察におすすめです。

津市一志町波瀬 里の丘広場

入場無料、無料駐車場有

観察を楽しむための大切なお願い

今回ご紹介したスポットは、どちらも地域の方々が個人の土地や畑を好意で開放してくださっている場所です。アサギマダラの美しい姿を気持ちよく観察するために、以下のマナーを守って楽しんでいただくようお願いします。

・ゴミはすべて持ち帰りましょう。

・畑の中を踏み荒らさないようにしましょう。

駐車場について: 多くのスポットには専用の駐車場がありません。近隣の集会所や道路は、住民の皆さんの生活道路です。迷惑駐車は絶対に避け、近隣の有料駐車場などを利用するようにご配慮をお願いします。

この2か所以外でも、三重県内では東員町、いなべ市、亀山市、松阪市、御浜町の公園やボランティアの農園で毎年飛来が確認されていますが、ここ最近は異常な暑さやフジバカマの病気などにより、花の生育に影響がでている場所もありました。管理をされている方々のご苦労は大変なこととお察しいたします。

ぜひ、この秋は「愛和園」と「里の丘広場」など三重県で、地域の人々と旅する蝶が織りなす温かい風景に触れてみませんか?

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さんぺい(sanpei_mie)

昔は観光資源としては成立していなかった工場夜景など、当たり前の日常風景が観光資源となる昨今、近場の花スポット、神社仏閣、鉄道、街の風景など、上手くは撮れませんが、三重県の人にとっての日常風景を資源として掘り起こし、発信していきたいです。

みえ旅アンバサダー さんぺいのInstagram

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