伊勢神宮に夫婦岩、ロードバイクで伊勢の定番観光スポット巡り【美し国三重 自転車道中記その13 伊勢・二見編】

掲載日:2021.04.08

伊勢神宮のお膝元の伊勢市は、三重県を代表する観光地のひとつ。伊勢神宮外宮・内宮とその鳥居前町、夫婦岩でおなじみの二見興玉神社など、人気の観光スポットも点在しています。これらのスポットは、自転車で回るのにちょうどよい距離感でもあるのです!
そこで今回は、伊勢周辺の人気の観光スポットを自転車で巡りながら、観光ガイドブックにはあまり掲載されないような“普段着の伊勢”も訪ねる上り少なめ&距離短めのコースを紹介します!

■旅人 自転車ライター・浅野真則
自転車歴およそ20年。三度の飯+おやつと同じぐらい自転車が好き。自転車を愛するあまり、フリーの自転車ライターに転身。仕事と称して自転車に乗り、プライベートでもレースやロングライドを楽しむ。
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「美し国・三重 自転車道中記」とは?三重県生まれ三重県育ちの自転車ライター・浅野真則が、三重県の魅力を自転車で巡りながら紹介します!
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桜の名所・宮川堤から外宮へ

宮川堤公園

今回のサイクリングの舞台は、三重県を代表する観光地・伊勢。伊勢神宮や夫婦岩など、三重県に観光に来たことがある人なら一度は訪れたことがあるであろう定番のスポットが密集するエリアです。県外の方の中には、修学旅行で訪れたことがある方もいらっしゃるのでは? 今回は定番中の定番の観光地をサイクリングします!

スタート地点はマイカーなら宮川堤公園の無料駐車場を利用するのがおすすめ。宮川堤は桜の名所としても知られるので、時期が合えば花見も楽しめます!

ここからまずは伊勢神宮外宮方面を目指します。電車の場合は伊勢市駅まで輪行し、そこからスタートすると便利です。

伊勢神宮・外宮

宮川堤公園を出て市街地を東へ。まずは伊勢神宮・外宮を目指します。市街地は交通量が少し多めですが、道幅が広めなので走りやすいです。

数kmほどで外宮の鳥居前町・外宮参道に到着します。外宮参道は、最近キレイに整備され、飲食店も充実してきました。そんな中で創業100年以上の歴史を誇る老舗旅館・山田屋の木造三層楼はひときわ目を引きます。

伊勢神宮に参拝する際は、先に外宮、続いて内宮という順番でお参りするのがならわしです。まずは外宮にお参りしましょう。参拝時にはスニーカーなどの歩きやすい靴に履き替えましょう。

鳥居をくぐって火除橋を渡り、手水舎で両手と口を清めて正宮を目指します。神宮の森は野鳥の声や玉砂利を踏みしめる音ぐらいしか聞こえないほど静粛で、歩を進めるごとに心が清められるようです。

正宮は豊受大神宮といい、衣食住をはじめとする産業の守り神です。日ごろのご加護に感謝し、今後の平穏な生活を願いました。




参宮街道をへて伊勢神宮の中心・内宮とおはらい町・おかげ横丁へ

麻吉旅館

外宮の参拝を終えたら、内宮に向かいます。外宮前の御木本道路を通るのが最短距離ですが、せっかくなので昔のお伊勢参りの旅人になったつもりで旧伊勢街道を通っていきましょう。

外宮を東に進み、岡本一丁目交差点を左折。さらに次の信号を右折すると旧伊勢街道です。勢田川にかかる小田橋を渡ると、1kmほど上りです。勾配はそれほどきつくないので、軽めのギヤに変速してマイペースで上れば問題ないでしょう。

坂の上は、江戸時代に全国屈指の花街として栄えた古市という町です。今は高台の住宅街といった風情ですが、麻吉という当時の面影を残す老舗旅館があります。

十返舎一九の「東海道中膝栗毛」にも登場するこの旅館は、200年以上の歴史を誇ります。京都の清水寺と同じ懸崖造という建築様式で急斜面に建てられており、6層5階という当時にしては立派な建物です。土蔵を改良した「麻吉歴史館」には200年の歴史を物語る貴重な品々が展示されています。旅館としても現役で、今でも泊まることができますが、人気が高く、予約が取りにくいそうです。

伊勢神宮・内宮

古市の麻吉旅館をあとにし、旧伊勢街道を南進。県道37号との交差点を越えて1kmほど進むと、急な下りが現れます。スピードに注意して下ると、突き当たりの信号交差点の左手が猿田彦神社です。交差点を左折し、直進すると伊勢神宮・内宮前に到着します。ここからは自転車を駐輪場に止め、歩きやすい靴に履き替えて散策しましょう。駐輪時は丈夫なケーブルロックなどがあると安心です。

まずは内宮の参拝へ。内宮は皇大神宮といい、天照大神を祀る神宮の中心で、日本の総氏神でもあります。宇治橋を渡り、五十鈴川の川原の御手洗場で身も心も清め、正宮への長い参道を歩くと、やはり心が洗われるようです。

おかげ横丁・おはらい町

正宮にお参りし、江戸時代のおかげ参りの旅人も楽しんだ精進落としを楽しみましょう!

内宮前には鳥居前町のおはらい町があります。宇治橋前からおよそ800mにわたって続くこの通りは、伝統的な町並みを再現しており、電柱を撤廃して電線も地中に埋設しています。老舗の名物餅・赤福の本店や、手こね寿司や伊勢うどんといった伊勢志摩地方の郷土料理も味わえる飲食店が軒を連ねます。

おはらい町の中ほどにあるおかげ横丁は、江戸期や明治期の伊勢路の古い建築物を移設・再現してつくられた町。三重県の老舗の味や名産品を楽しめるお店が並ぶほか、桃の節句や七夕など四季を通じて年中行事にあわせたイベントを開催。グルメだけでなく、季節感も楽しむことができます。

まる天

おはらい町やおかげ横丁には、テイクアウトしてサッと食べられるグルメも豊富にあります。中でもオススメなのはまる天の磯揚げ各種です。

自然が豊かで海山の幸が豊富な伊勢志摩は古くから「美し国」と呼ばれましたが、まる天の磯揚げは、その伊勢志摩産の海の幸を使って作られています。種類も豊富で、チーズ棒やたこ棒など、さまざまな味が選べます。店頭で揚げたてを食べられるのも魅力のひとつです!

今回は定番商品で店のナンバーワン人気を争うチーズ棒とたこ棒をいただきました!

チーズ棒(350円)は磯揚げの中にチーズが入っており、一口かじると中から熱々のチーズがとろりと出てきます。磯揚げとチーズのほのかな塩味が相性抜群で、子どもも大好きな味ですし、お酒のおつまみにも合いそうです(サイクリング中は飲酒厳禁です!)。揚げたてはとても熱いので、注意して食べましょう。

たこ棒(380円)は、磯揚げの中にたこや細かく刻まれた紅生姜が練り込まれています。チーズ棒よりあっさりとした味ですが、磯の風味が強く、こちらもとても美味でした!

猫舌気味の僕ですが、あっという間に2本完食。ボリューム感も満点で、腹持ちもいいですよ!

まだまだサイクリングはこれから。お腹が満たされたところで出発しましょう。

おはらい町を北上し、赤福本店の手前の交差点を右折すると五十鈴川に架かる橋があります。この橋の上は、五十鈴川とおはらい町を一望できる隠れた絶景スポットです。

橋を越えたら伊勢道路の下をくぐって三交グループスポーツの杜伊勢(三重県営陸上競技場)前を通り、県道37号へ。さらに西に進みます。




夫婦岩でおなじみの二見で安全ライドを祈願!

神宮新田

再び五十鈴川を渡り、左カーブを曲がって数百mほど走ると、右手に広大な田んぼが現れます。伊勢神宮の神々にお供えするためのお米を作る神宮神田です。

伊勢神宮にお供えするお米をはじめとするお供え物を御料、これらを作る場所を御料地といい、神宮神田は御料地のひとつです。神宮神田では、昔ながらのしきたりを守って清浄に稲作が行われます。御料地内は神聖な場所なので、立ち入ることができません。

二見浦旅館街・賓日館

神宮神田をあとにし、道なりに東に進みます。最初の信号交差点で左折し、伊勢二見鳥羽ラインの高架をくぐって県営サンアリーナを右手に見ながらさらに道なりに進み、左手にともいきの国伊勢忍者キングダムの安土城天守閣を見ながら走ると、二見インター交差点に出ます。この交差点を左折し、トンネルをくぐると、左手に小さな公園があります。

ここには公衆トイレと二見興玉神社の蛙岩にまつわる縁起物・無事カエルの像があります。蛙が「帰る」や「返る」に通じることから、「無事に家に帰る」「なくしたものが返る」などの願いがかなうと言われています。これから向かう二見興玉神社にもカエルの像がいっぱいありますよ。

国道42号をJR二見駅方面に向かい、駅前の交差点へ。この交差点から二見興玉神社の表参道が始まります。道なりに北進し、丁字路を右に曲がると、二見浦の旅館街です。

二見浦は日本初の海水浴場が開かれた場所で、かつては伊勢神宮参拝者が二見浦で身を清めたみそぎの地でもありました。

このあたり一帯は、旅館や土産物店が軒を連ねています。中には歴史を感じさせる木造建築の旅館もあります。修学旅行で訪れた方もいらっしゃるのでは?

旅館街の一角には、賓日館というかつて伊勢神宮に参拝する賓客が宿泊した施設があります。賓日館は明治20年(1887)に建てられており、国の重要文化財に指定されています。現在は宿泊施設としての役割を終え、賓客を迎えた当時の調度品を展示する資料館として活用されています。

二見興玉神社

賓日館を出るとあっという間に二見興玉神社に着きます。伊勢の観光サイクリングを語る上では、やはり二見興玉神社の夫婦岩を外すわけにはいきません!

駐車場に自転車を停め、歩きやすい靴に履き替えて参拝します。

玉砂利を踏みしめて歩みを進めると、正面に夫婦岩が見えてきました! 男岩、女岩の大小2つの岩がしめ縄でつながれている夫婦岩は、夫婦円満の象徴とされます。夏至のころは夫婦岩の間から日の出が拝めるほか、冬至のころの満月の日には夫婦岩の間から月が昇る様子も見られます。

夫婦岩の近くには、カエルが乗っているように見える蛙岩もあり、これが二見の縁起物である「無事カエル」の由来になっています。

お参りして夫婦円満と旅の無事を祈り、二見興玉神社をあとにします。





川沿いをサイクリングし蔵の町・河崎へ

次の目的地である蔵の町・河崎までは、川沿いの道を走ります。まずは五十鈴川に突き当たるまでひたすら東へ。途中、二見浦の海水を炊いて伊勢神宮に奉納する堅塩を作る御塩殿神社があります。

五十鈴川に突き当たったら左折。途中、景色が開けて五十鈴川の穏やかな流れを望む絶景がしばらく楽しめます。

国道42号を横断し、県道102号を右折して五十鈴川を渡ります。渡りきったところで右折し、国道42号を歩行者・自転車用のアンダーパスでくぐると、先ほど走ってきた道の対岸の堤防道路に出ます。そのまま道なりに進むと、勢田川沿いに出るので、排水機場の堰を通って対岸に渡ります。やがて堤防道路が行き止まりになるので、県道102号に入ります。

県道は交通量が多めですが、道路に太平洋岸自転車道のサインマークと矢羽根が敷設されています。

太平洋岸自転車道は、千葉、神奈川、静岡、愛知、三重、和歌山の太平洋沿岸の6県を通る全長1400kmの自転車道で、三重は鳥羽から伊勢経由で熊野に向かうルートと志摩経由で熊野に向かうルートがあり、ここは伊勢経由ルートの一部です。そのためか、自転車のことを意識しながら走ってくれるドライバーが多いように感じました。

住宅地を抜け、勢田川沿いに出ると、対岸に蔵が建ち並ぶ一角が見えてきました。蔵の町・河崎です。

河崎は人々がこぞってお伊勢参りに訪れた江戸時代に伊勢の水運の玄関口として栄えた町。伊勢に運ばれるさまざまな物資もここに運ばれた後、各地に届けられたそうです。当時の面影を残す町屋や蔵が残っていて、一部はカフェや雑貨店などに改装されています。河崎の文化や歴史を学べる「伊勢河崎商人館」もあります。

ここまで来れば、フィニッシュの宮川堤公園もすぐ。とはいえ、交通量が多めの市街地を抜けることになるので、最後まで安全ライドを心がけましょう。ひとっ風呂浴びてさっぱりし、家に無事に帰るまでがサイクリングです!

みたすの湯

今回のシメの温泉は、河崎にほど近い伊勢・船江温泉みたすの湯。電気風呂や炭酸泉など11種類のお風呂とサウナが楽しめ、サイクリングの疲れを癒してくれます。

食事処では郷土のグルメ・伊勢うどんや手こね寿司も楽しめます。

広々とした駐車場もあるので、いったん宮川堤公園にフィニッシュしてからクルマで来てさっぱりしてから帰るのもおすすめです。


<みたすの湯>
入浴料:中学生以上600円(土日祝日は700円)、小学生250円、4歳以上100円
※タオルレンタル(バスタオル・フェイスタオル)300円
営業時間:9:00~24:00(通常時)
※現在は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため23時までの時短営業中
休館日:年中無休(施設点検のための臨時休業あり)

★今回のコースはこちら
記事作成/浅野 真則
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