松本峠から世界でonly twoの「道の世界遺産」熊野古道へ

掲載日:2020.12.14

人間は大自然の力に「鍛えられる」のかそれとも「癒される」のかは、熊野古道を訪れたら分かるかもしれません。日本には古くから「伊勢に7度、熊野に3度」という言葉がありますが、伊勢神宮から熊野への「熊野古道伊勢路」にある「松本峠」は初心者でも楽しめるコース。いざ、日本人が信ずる神様と仏様が共に棲む聖地へ……最後は、かつて熊野市の林業家の豪邸で一休み。待ち望んだ熊野古道への夢を叶えましょう。

※この記事は、繁体字サイト「三重旅遊情報讚」用に台湾人ライターが繁体字で書いたレポートの日本語版です。
繁体字を使う外国の方向けに三重県の魅力を紹介している記事ですので、少し目線が異なるかもしれませんが、そういった点もあわせてお楽しみください。


「熊野古道に訪ねたいなぁ〜。」と思いながらも、4県も跨る熊野古道の中で、どのコースから入門をするか、迷ってしまう方も少なくないかもしれません。


世界文化遺産の熊野古道は、紀伊半島南部にある「熊野三山」・「高野山」・「吉野・大峯」の三つの霊場を結ぶ参詣道の総称で、その参詣道は、三重県・和歌山県・奈良県・大阪府に跨ります。

日本には古くから「伊勢に七度、熊野に三度」という言葉がありまして、伊勢神宮はご存じ「日本人の心の故郷」、熊野は千年前の平安時代から貴族たちに人気だった熊野詣、15世紀に入ってからは庶民にまで流行り、「蟻の熊野詣」と呼ばれるほど貴族から庶民まで誰もが訪れたかった憧れの聖地です。


今回は伊勢神宮から熊野への「熊野古道伊勢路(約170㎞)」中の「松本峠」を紹介したいと思います。

今回「松本峠」を選んだ理由は4つ

①距離は約4.3 km、最高標高135mと初心者の方でも楽しめること。
②苔むした数百年からの石畳は深い緑に囲まれていて、自然豊かな古道であること。
③山を通して竹林の近くで、世界遺産に登録された七里御浜が一望できること。
④松本峠の西登り口から下りると、林業家の豪邸である休憩所で一休みができること。


「松本峠」は、東側の登り口と西側の登り口があります。東側の登り口は、JR大泊駅から徒歩10分ほどで、国道42号線沿いにあります。西側の登り口は、JR熊野市駅から徒歩約15分の所に位置します。

今回は東側の登り口から登り始めます。それでは、出発!


登り始めると、江戶時代(1603年-1867年)に作られた石畳の道が杉樹林の中に続いていきます。


古くから日本人にとって、この山深き地は神様と仏様が共に棲む世界であり、険しい山道を越えて、苦行の果てには悟りが開けると信じられていました。


こちらの石畳道と杉の木の広く張り巡らされた根は、編みあわせのように美しく幻想的な世界を生み出していました。

このとき私は、宮崎駿監督の映画・天空の城ラピュタで、主人公達がラピュタ全体を覆っていた大樹の根に掴まりながら言った「木は私たちを守ってくれている」というセリフを思い出しました。

熊野古道伊勢路に石畳道が多い理由は、雨が多いから。道が雨に流されるのを避けるために、先人たちはその山の石を敷き詰め、沢山の石畳道が作られました。加えて、杉の木の根にも守られているので、何百年立っても石畳道は強く固く今でも存在しているのです。


しばらく石畳道を登ると、竹林の中に等身大の大きなお地蔵さんが並び立ちます。

お地蔵さんの足元に傷があるのは、建ったその日に妖怪と勘違いされて撃たれたからだそうです。

お地蔵さんの前を通ると「東屋」への細い分岐道があります。3分ほどで東屋に到着するのでぜひ寄ってみるのもよいでしょう。


「東屋」からは、約22キロメートルにも及ぶ広大な七里御浜と熊野湾が一望できます。


お地蔵さんの所に戻って、今度は西へ歩くと松本峠の西側の登り口と熊野市駅への道に入ります。こちらの石畳道は明治時代の漁師たちが築き上げたものです。


松本峠の石畳道を一歩一歩と踏みしめながら、コースの終わりが見えてくると、全コースを完走した人たちの気持ちが分かってきたように感じました。

それは神様と仏様が共に棲む熊野古道に溢れる神秘的な力に鍛えられ、癒されたからなのでしょう。


名称

松本峠・花の窟(熊野古道伊勢路)

電話番号

0597-89-6172

駐車場

・大泊側登り口付近に数台

公共交通機関でのアクセス

【スタート地点のJR大泊駅まで】
・JR・近鉄「津駅」から電車で約3時間
・JR紀勢本線「熊野市駅」から電車で約10分

車でのアクセス

・尾鷲熊野道路「熊野大泊IC」から車で南へすぐ

山を下りると熊野市內に入ります。熊野市駅までの途中には「紀南ツアーデザインセンター」があり、一休みするのにおすすめです。


「紀南ツアーデザインセンター」は築約130年の純和風建築。地元の林業家・奥川吉三郎氏の豪邸でしたが、地域の発展に貢献するために熊野市に寄贈されました。

お庭から建物まで、当時のまま留めているこの立派な建物は、柱梁(ちゅうりょう)や欄間(らんま)にもたくさんの銘木を贅沢に使っていて、さすがの林業家邸。他にも、江戸時代からの生活道具なども展示されています。


現在では、イベントやツアーを企画する旅の拠点としてや、観光客向けの無料休憩所としても利用されています。


入館すると、優しいスタッフさんが竃(かまど)で沸いたお湯で熊野の番茶を入れてもてなしてくれました。みなさんも是非、この贅沢な休憩所に寄ってみてください。


松本峠を登った疲れには、熊野市にしかない「新姫(にいひめ)」という柑橘から生まれた新姫サイダーが最適!
さっぱりした甘さと柑橘の爽やかな香りに癒されます。

紀南ツアーデザインセンターにはほかにも、熊野市の工芸品・特産品・お土産品なども展示販売されています。休憩しながら熊野のユニークな特産にも触れることができるのも良いですね。


名称

紀南ツアーデザインセンター

住所
〒519-4323 熊野市木本町517-1
電話番号

0597-85-2001

営業時間

9:00~17:00

休日

平日(土、日、祝日のみ営業)

熊野参詣道は、2004年にユネスコ世界遺産として登録されました。

世界では道の世界遺産は日本の「紀伊山地の霊場と参詣道の熊野古道」とフランスとスペインの間にある「サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路」この2ヶ所しかありません。

熊野古道の入門として最適な松本峠は、熊野古道を巡ってみたい皆様にとって良い参考になり、実際に熊野古道を歩いて聖なる魅力を感じ、熊野古道への夢が叶えば嬉しいと思います。

★アクセス:JR紀勢本線「大泊駅」(東側の登り口)・「熊野市駅」(西側の登り口) 。


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