三重の文学
横光利一の想い
初恋は石鹸の匂い…。 横光の自画像「雪解(ゆきげ)」。
上野城の足元にある上野高校に、レトロな木造校舎が建っている。それこそ作家・横光利一が通い、小説「雪解」に登場した旧制三中である。
物語は主人公・卓二と、彼が想いをよせる栄子を中心に進んでいく。作中、卓二が下宿の庭を隔てた家に、栄子を見つける場面。彼は登校前の着替えの最中、シャツの石鹸の匂いに恋心を重ねるのだが、それは作者自身の自画像でもあった。 中学校時代、横光利一は上野で下宿しながら学校に通い、その体験が作品のモチーフになっている。つまり、卓二は中学生・利一の姿を反映しているのである。
当時の空気を包んでいるかのように佇む白木の木造校舎。日差しが降り注ぐその校舎へ足を踏み入れたならば、横光が青春を謳歌した時代へ行くことができる。
作品紹介
[雪解]
横光利一が、上野に下宿していた中学校時代をもとに書いた中編小説。高校生の栄子を慕う主人公・卓二の微妙な心の揺れを描いた、横光の自画像的作品である。上野高校木造校舎[伊賀市]
小説『雪解』の舞台となった公社。旧制・県立三中。横光が中学校時代に通った当時そのままに残されており、横光関係の資料が同校によって保存されている。
近鉄上野市駅から徒歩5分
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